生理前にイライラ!PMS(月経前症候群)の症状・原因・対策方法

PMS(月経前症候群)

PMSは「Premenstrual Syndrome」の略で「月経前症候群」と訳されます。
生理が始まる3~10日ほど前に、心身両面において様々な不調が現れることを言います。
PMSの症状・原因・対策などをまとめてみました。

PMS(月経前症候群)の症状

PSM(月経前症候群)の主な身体症状は、下腹部の痛み・膨満感、乳房の痛み、むくみ、頭痛、めまい、眠気や不眠などの睡眠障害などです。
精神症状としては、ウツ、イライラ、攻撃的になること、絶望感などがあります。

現れ方は様々で、人によって症状も程度も違います。
不調の現れ方は200種類以上とも言われます。
症状は、生理が来るとウソのように治まる点が特徴です。
海外では30年以上も前から研究が進んでいますが、残念ながら日本ではPMSという言葉さえ知らない人が多いという状況にあります。
では、その原因は何なのでしょうか?

PMS(月経前症候群)はなぜ起こる?

女性の性周期

実は、PMSの起こる原因・メカニズムは完全には分かっていません。
ただ、一般的に黄体期(排卵期と生理が始まる間の約2週間)に黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になることが原因と考えられています。

生理周期は、【生理期 → 卵胞期 → 排卵期 → 黄体期】に分かれます。
生理期は卵胞ホルモン(エストロゲン)・黄体ホルモン(プロゲステロン)の両方が急激に低下して、子宮内膜がはがれ、出血となります。
卵胞期から卵胞ホルモン(エストロゲン)が徐々に増えてきます。
排卵期に排卵され、次の黄体期には黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になります。
この黄体期にPMSは起きやすくなります。

この黄体ホルモンは妊娠の状態を保つのに不可欠なホルモンですが、妊娠していないときには、心や身体にとって不都合な状況を作り出すホルモンでもあります。
このホルモンが、安心・安定感をもたらす脳の分泌物質であるセロトニンの生成を妨げることや、活動状態-リラックス状態のバランスを司る自律神経を乱すことがわかっています。

PMS(月経前症候群)の症状改善方法

生活習慣(食事・運動・睡眠)などの調整や、リラックスできる時間を作ること、つらい症状を記録し、分析、あるいは医師に伝えることなどが基本となります。
補助的に薬を使うことも時には有効です。

下腹部痛・頭痛・乳房の痛みには「鎮痛解熱剤」

身体症状(痛み)は、市販の「鎮痛解熱剤」で改善することができます。
この際の鎮痛解熱剤とはNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)のことを言います。
ロキソニン、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、エテンザミド、アセトアミノフェン等があります。

1か月に10日以上使うとなると問題ですが、つらいときに適宜使っていくのは悪いことではありません。
これらは、痛み(陣痛を含む)の原因物質である「プロスタグランジン」の生成を抑えることで効果を発揮します。

精神症状には「トリプトファン」

PMS(月経前症候群)では、「セロトニン」の分泌が妨げられることが分かっています。
セロトニンとは、ドーパミン・ノルアドレナリンなどと共に、精神状態に関わる神経伝達物質です。

PMS(月経前症候群)でも起こりうる「うつ状態」では、神経伝達物質である「ドーパミン」「セロトニン」「ノルアドレナリン」などの活動状態が不順になっていると考えられます。とくにセロトニンは重要です。

不足すると、気分の落ち込み、リラックスの阻害、うつ症状などを引き起こします。
セロトニンを生成するには、必須アミノ酸である「トリプトファン」が必要です。
これはタンパク質から得られるものです。肉・魚・卵・大豆・ナッツなどに多く含まれます。

セロトニンは、朝に太陽光を浴びることにより、効率的に産生されるものでもあります。
朝はぜひ、日の光を浴びることをお勧めします。

それでも改善しない場合は、抗うつ剤を用いることも視野に入れましょう。
三環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAなど、心療内科や精神科で処方してもらえる有効な薬がありますので、検討なさってもいいと思います。
さらに、PMSの時期だけ「ベンゾジアゼピン」という抗不安薬を用いるのも一つの方法です。
精神医療ではよく使われるお薬で、いろいろなタイプのものがあります。

また、PMSでは攻撃衝動が高まることがあります。
これはおそらく、赤ちゃんを守る母性本能の表れであると思われます。
決して異常なことではありません。
しかし、あまりに極端に攻撃的になってしまう場合は、興奮を抑える薬を処方してもらうことも考えましょう。
ベンゾジアゼピンなどがあります。
いっとき、薬の力を借りることは卑怯なことでも悪いことでもありません。

眠気には「質の高い睡眠」

異常なほどの眠気、これもPMSの症状の一つです。
これは妊娠して赤ちゃんを成長させるために体の負担を減らそうという、女性ホルモンの正常な働きです。

これはある程度は許容するしかないのですが、睡眠リズムを整え、質の高い睡眠をとるための方法はあります。
一般的に言えることとして、次のようなものがあります。

  • 食事を就寝3時間前までに摂る(消化には時間がかかります)
  • 就寝1時間前にぬるめのお風呂に入る(上がった体温が低下していく時に眠くなります)
  • 就寝直前にはPCやスマホを見ない(神経活動が活発になりすぎてしまいます)

できれば、寝る前の1時間はリラックスタイムにしましょう。
心にも体にも良い影響を与えます。
簡単なようで難しいことですが、今日からすぐは無理でも、1年、3年のスパンでもいいですからチャレンジしてみてください。
PMS限らず、人生において大切なことです。

夕方5時以降のコーヒーはNGです。
興奮状態が続いてしまいます。
また、アルコールも実はNG。
中途覚醒など、睡眠の質を悪くしてしまいます。
少しのお酒は心身をリラックスさせるものですが、飲みすぎや、眠りに落ちるための飲酒はよくありません。

むくみが起きやすい

生理が始まると身体からどんどん血液が失われますので、身体は水分を貯蔵しようとします。
そのため、生理前は体が重くなったり、むくみを生じたりするのです。
塩分は水を抱き込むので、過多にならないようにし、塩分の排出をうながすカリウムを多くとりましょう。

摂るべき栄養素

セロトニン生成のための「トリプトファン」だけでなく、PMS(月経前症候群)の方にとって欲しい栄養素がいくつかあります。
身体の調子を整えるのに、ビタミン・ミネラルは欠かせません。
タンパク質・脂質・炭水化物の3大栄養素だけでなく、身体を調整するため、ビタミン・ミネラルを適切にとりましょう。

特にPMSでは「ビタミンB6」「ビタミンD」「カルシウム」「マグネシウム」があります。
また、生理に伴い、血液の赤血球を作るために必要な「鉄分」も重要です。

これらの不足に注意してください。
ダイエット中の方には十分ご承知のことと思いますが、食生活で不足している栄養素はないかチェックしたことのない方は、一度調べてみてください。

「わからない」「めんどくさい」という場合は、少し極論ですが、ドラッグストアで販売されている「マルチビタミン」「マルチミネラル」などのサプリメントも良いかもしれません。
方法はどうあれ、摂取できていることが重要なのです。

食欲増進に関して

PMSでは、血糖値に関連して、食欲が増進して過食に至ることもあります。
血糖値が下がるとイライラしたり、食欲が過度に増進したりします。
かといって血糖値を急激に上げると、その後急速に下がり、悪循環に陥ることもあります。
チョコレートやケーキなどの糖質が欲しくなることもあるでしょうが、そういった糖質は急激に血糖値を上げてしまいます。
できるだけ、でんぷんや穀物類・豆類・イモなどで、ゆっくりと糖質を補給してください。

同じ量を摂るのであれば、1日2食より3食・4食の方がよいでしょう。
血糖値の乱高下は避けるよう心がけてください。
ただし、もちろんですが、いつもの3食をしっかり摂った上で1食分増やせばもちろんカロリー過多になります。
同じ量を摂るなら分散させた方がよいということです。

薬を使う

先ほども、「鎮痛解熱剤」「抗うつ薬」「精神安定剤」などについて触れましたが、そのほかに「漢方薬」や「ピル(経口避妊薬)」、「サプリメント」を使う方法もあります。
繰り返しになりますが、必要な時に必要な薬を使うのは不自然なことではありません。

漢方薬

漢方薬には即効性はありませんが、心身全体において威力を発揮します。
身体の状態にあった漢方薬と巡り合えることは非常に素晴らしいことです。
西洋医学の薬で改善が見込めない場合、たかが漢方と思わずに、ぜひ選択肢の一つとして捉えてみてください。
また、西洋医学の薬と併用できる場合が多く、補助・調整の面で優れています。

PMS関係でよく使われる漢方薬を挙げてみます。

安中散(アンチュウサン)
安中散は、胃の不快感や痛み、胸やけ、食欲不振に効果があります。
また、胃の調子が悪くなると肌荒れや吹き出物ができることがありますが、それらの予防にも寄与します。

五苓散(ゴレイサン)
五苓散は、体内で滞った水分を排泄するのを助けます。
その利尿作用により、体内の代謝機能を正常なものへと導きます。
むくみを感じている方に特に向いています。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
桂枝茯苓丸は、PMSや月経困難症など、婦人病によく使われます。
血液の粘性が高まり、血が滞るような状態を改善します。
生理痛・下腹部痛・頭痛・めまい・のぼせ・冷えなどに効果があります。
更年期障害にも使われる薬です。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)
加味逍遥散は、精神症状を緩和します。
精神不安・ウツ・イライラ・攻撃性亢進などの症状を和らげます。
月経前症候群の全体的な症状を和らげる効果も持ちます。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
当帰芍薬散は、身体を温めて貧血を改善します。
痛みを和らげる・ホルモンバランスを整えるなどの他、利尿作用もあります。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
桃核承気湯は、精神状態の乱れを整えます。
不安やイライラに効果的です。生理痛・便秘改善の効果もあります。

温経湯(ウンケイトウ)
温経湯は、血行を良くして体を温める薬です。
生理痛・生理不順・腰痛・頭痛・月経前症候群・更年期障害などに効果を現します。

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
半夏厚朴湯は、うつ状態などの情緒不安定な状態を安定させてくれます。
咳や吐き気などを抑える効果もあります。

ピル(経口避妊薬)

ピルは経口避妊薬とも言います。
しかし、避妊効果だけでなく「子宮内膜症」「月経困難症」や「月経前症候群(PMS)」にも確実な効果があります。

ピルはもともと、避妊薬として開発されたわけではありません。
女性の月経にまつわる諸症状の治療薬としての使用が第一の目的でした。
ですので、月経前症候群(PMS)に効いて当たり前なのです。

ピルは「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2つの女性ホルモンを含んだ薬で、排卵を止める働きがあります。
すると、身体からの女性ホルモンの分泌が低下し、PMS等の症状が大幅に軽減します。

ピルを服用すると「止めた後不妊症になるのでは?」「ガンになるのでは?」などの心配を持っている方もおられるでしょうが、そんなことはありません。
むしろ、排卵を休むことにより、女性機能の劣化が抑えられ、後の妊娠には好影響を与えます。

ガンに関しては「卵巣がん」「子宮体がん」のリスクを下げます。
特に「卵巣がん」は、自覚症状がなく、進行も早い厄介なガンです。
ピルの継続服用でこれらのガンの発症を抑制することができるのです。

一方デメリットとして、すでに発生した「乳がん」の進行を早める傾向がピルにはあります。
また、ピルの直接の作用ではないのですが、「子宮頸がん」の発症率を上げます。
これは、ピル服用の場合コンドームを使用しない傾向が強く、性交時に「ヒトパピローマウィルス」に感染するのが原因です。
感染しても即ガンにはつながらないのですが、このウイルスは子宮頸がんの原因になります。
ピルとガンの関係は以上です。「卵巣がん」「子宮体がん」のリスクを下げ、「乳がん」「子宮頸がん」には注意が必要ということです。

サプリメント

PMSかどうかに関わらず、ビタミン・ミネラルの過不足ない摂取は人間にとって欠かせないものです。
食事から摂れれば一番良いのですが、摂りづらい場合、先に挙げた「マルチビタミン」「マルチミネラル」などのサプリメントを使うことも方法の一つです。
他に、サプリメントとしてPMSに効果があるとされるものを2つご紹介しておきます。

大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、女性ホルモンである「エストロゲン」とよく似た分子構造をしています。
そのため、ホルモンバランスの乱れを抑え、PMSの症状を緩和させることができると言われています。
イソフラボンは大豆に含まれているポリフェノールの1種です。
大豆の中に0.2~0.3%ほど含まれています。
イソフラボンには2種類あります。
分子量が大きく、吸収されにくいグリコシド型イソフラボンと、分子量が小さく、吸収されやすいアグリコン型イソフラボンです。
豆腐や納豆はタンパク質も多く、特に納豆は整腸作用に優れていますが、含まれるイソフラボンは吸収されにくいグリコシド型イソフラボンになります。
醤油や味噌は、吸収されやすいアグリコン型なのですが、大量に摂る食品ではありません。
こうしたことから、サプリメントで摂るのが現実的と言われています。

チェストベリー
チェストベリーは、南ヨーロッパから地中海沿岸やアジアに生息する落葉樹の実です。
ホルモンの調整作用があり、PMSに有効です。
実際に、PMS治療薬として国内で認可されている「プレフェミン」も、有効成分はチェストベリーです。

まとめ

PMS(月経前症候群)の症状は多岐にわたりますが、身体症状では、むくみ・眠気が一番つらいと感じる人が多いです。
下腹部痛も出やすい症状です。
精神症状では、ウツや絶望感・不安感が強く出る人と、逆にイライラしたり攻撃的になるという場合があります。

市販の鎮痛薬やサプリメントで何とかなる程度ならそれで構わないのですが、日常生活に支障をきたすほどなら、一度婦人科で診てもらうことをお勧めします。
また、ピルの使用は時に決め手となりうるものですので、使う使わないはともかく、一度どのようなものか、ぜひお調べになってください。

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