避妊効果以外でピルを飲むメリット・デメリット

ピル(経口避妊薬)

しっかり避妊+やさしい生理

ピルを飲むことで得られるメリットは避妊以外にも多くのメリットがあります。
デメリット(副作用)もあるのですが、総合してメリットの方が圧倒的に多いです。
ピルの作用と副作用について正しく知っておきましょう。

世界のピルの使用率

世界におけるピル(低用量ピル)の服用人数

2013年の国連による統計では、ピルの服用率は、フランスで41%、ドイツ37%、イギリス28%となっています。
キャリアウーマンにおいてはさらに高い服用率になります。

ところが日本でのピルの服用率はわずか1%…
 異常なほどの低服用率になっています。

日本でのピルの服用率が異常に低い3つの理由

理由①

ピルの承認が遅れたことによります。
1999年に初めて承認されましたが、先進国の中では最も遅く、アメリカより25年遅れています。

理由②

ピルの入手に処方箋が要ることです。
多くの先進国ではドラッグストアで普通に購入できます。

理由③

「偏見」です。
「避妊薬」というだけで問題視されるほか、「副作用が怖そう」「太る」「不妊症になるのでは?」といった誤解があります。
開発当初の中用量ピルにはいくつか問題点がありましたが、今は非常に安全な薬になっています。

ピルを飲むメリット

ピルのメリット・デメリット

ピルは「経口避妊薬」という名称から避妊目的のみの薬と思われがちですが、生理痛などの月経困難症、子宮内膜症をはじめ、女性にとって多くのメリットがあります。

1)避妊効果

まず、もちろん避妊の効果があります。
コンドームより高い避妊効果があり、飲み忘れがない限り避妊手術に相当する効果が期待できます。

2)生理不順の改善

ピルの避妊以外の効果として、生理不順の改善効果があります。
ピルを服用していると、きっちり28日周期になります。

旅行や仕事などの予定があるので、生理になるタイミングを早めたい、あるいは遅らせたいなどの場合にもピルは有効です。
生理を早めたいときは、生理開始1日目から5日目までに飲み始め、生理が来てほしい2日ほど前に服用をストップすると生理が始まります。
ただ、ピルを飲み続けている場合に適用できる方法で、いきなりを生理早めるということではありません。

生理を遅らせたい場合は、生理予定日の5~7日前から遅らせたい日まで飲み続けます。
服用をやめて2日ぐらいで生理になりますが、これもすでにピルを飲み続けている場合のみ有効な手段です。

3)生理痛の軽減

生理痛には子宮内膜の厚さが関係しており、厚くなった子宮内膜がはがれる時に痛みが出ます。
ピルには子宮内膜を厚くさせない作用があるため、生理痛の軽減が期待できます。
ヤーズフレックス(最大120日間飲み続けられるピル)を使用している場合、生理の回数自体を減らすことも可能です。

4)月経困難症の改善

生理痛の軽減と被りますが、ピルは月経困難症の改善に効果があります。

月経困難症とは、腹痛や腰痛などの生理痛が強く、吐き気や頭痛などを伴う症状です。
子宮筋腫や子宮内膜症といったはっきりした原因があるものを続発性月経困難症、特に原因が見当たらない場合を原発性月経困難症と言います。

月経困難症は、痛みの原因物質である「プロスタグランジン」という陣痛を起こす化学物質が引き起こす症状です。
プロスタグランジンが子宮筋や血管を過度に収斂させるため起こる痛みです。
プロスタグランジンは黄体ホルモン「プロゲステロン」から合成され、生理前の黄体期に多くなるため生理前の不快な症状(月経前症候群:PMS)の原因となります。

ピルはこのプロスタグランジンの分泌を抑制します。
さらに、バソプレシンという子宮収縮に関連しているホルモンの作用も抑えると考えられています。

5)過多月経の抑制

月経血に血の塊が混じったり、1週間以上生理が続く場合、過多月経である可能性があります。

ピルは子宮内膜が厚くなるのを防ぎますから、月経血が少なくて済みます。
ただし、過多月経は子宮筋腫や子宮腺筋症が原因の場合があるので、一度医師に診てもらうことがベターです。

6)子宮内膜症の治療効果

子宮内膜症とは、子宮以外の場所に子宮内膜やそれに類似した組織が発生するもので、生理痛や不妊症の原因となる症状です。
生理の時に月経血が卵管を通って漏れ出し、その漏れ出した内膜組織が腹膜に付着して増殖していくことが子宮内膜症の原因の一つと考えられています。
ピルの服用によって月経血の量が減りますので、お腹の中に漏れ出す血も少なくなり、子宮内膜症のリスクも減ります。

また、子宮内膜症は妊娠すると改善することが知られており、これは黄体ホルモンの影響によるものと考えられます。
ピルは黄体ホルモンを含む薬剤で、ある意味妊娠しているのと同じような状況を作り出すため、子宮内膜症の治癒効果があります。

子宮内膜症は重症化すると外科手術が必要になることもあり、出血の痛みも激しいものですから、これを予防できるというのはピルの大きなメリットと言えます。

7)機能性卵巣嚢胞の発生頻度の低下

卵胞嚢胞・黄体嚢胞といった機能性卵胞嚢胞は排卵の異常によって起こります。
ピルを服用することで排卵そのものが抑制されるため、この症状の発生頻度が低下します。

8)骨盤内感染症の減少

骨盤内感染症とは、クラミジアや淋病菌などの病原体が性交渉などにより感染し、それらが骨盤内にまで広がることで、腰痛や不妊症の原因となります。

ピルには子宮頚管(子宮への入り口)の粘性を高め、精子の侵入を防ぐ効果があります。
その効果は病原体にも及ぶので、骨盤内の炎症性疾患や卵管炎の発症率が減少します。

9)不妊症になる可能性を低下させる

ピルは基本的に避妊薬ですが、不妊の原因となる子宮内膜症や骨盤内感染症を防ぐため、不妊症になる可能性を下げます。
また、望まない妊娠による中絶も不妊症の原因となることも明らかです。

10)一部のガンのリスクの低下

後述しますが、ピルは一部のガンのリスクを低下させます。

11)ニキビの予防

ニキビの原因の一つはホルモンバランスの乱れによります。
ピルはホルモンのバランスを整えますので、ニキビ抑制に効果があります。

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ピルのデメリット(副作用)

1)タバコを吸っていると血栓症を起こすことがある

タバコを吸っている上でピルを服用すると血栓症になるリスクがあります。
35歳以上で1日15本以上タバコを吸っている場合、ピルの処方が受けられません。
その条件に抵触しなくても、タバコとピルの相性は悪いと言えます。

また、「高血圧の方」「重度の片頭痛のある方」「静脈血栓症を起こしたことがある方」「妊娠している方」「授乳中の方」「ガン患者」「その他の重い疾病を持っている方」も、基本的にピルの処方が受けられません。

2)子宮頸がんのリスクが高まる恐れがある

後述しますが、性交渉の回数が多い方、出産回数が多い方、経口避妊薬を長期服用している方は、子宮頸がんになりやすいとされています。

3)避妊はできても性感染症は防げない

ピルは避妊の効果は十分ありますが、性感染症を防ぐ効果はありません。
性交渉の際は必要に応じてコンドームを使うことが大切です。

4)頭痛・吐き気・倦怠感

ピルの副作用でもっと多いのが頭痛や吐き気・倦怠感です。
ピルによって体内のホルモンの量が変化するために起こります。
大抵は飲みはじめのみ見られる副作用で、慣れてくると改善されることがほとんどです。

5)うつ

ピルの副作用でうつが起きることがあります。
体内のホルモンバランスが変化することにより起こるものと考えられています。

6)乳房の張りや痛み

ホルモンの影響で、一時的に乳房が張りやすくなります。
ピルを飲み続けていくうちに解消されることがほとんどです。
しこりなどを伴う場合は乳がんの疑いがあるので、がん検診を受けましょう。

7)眠気

稀な症状ですが、飲み初めに眠気が起こることがあります。
眠気が強く出る場合、就寝前に飲むとよいでしょう。

8)不正出血

飲み忘れた場合などに起こりやすいですが、規定通りに服用していても起こることがあります。
そのまま飲み続けてもいいですが、ピル服用中に婦人科検診を受けたことがない方は一度受診されることをお勧めします。

ピルとガンのリスク

ピルを飲むとリスクが増加するガンもありますが、逆に減少するガンもあります。
全体としてはむしろガン減少の効果の方が大きいです。

ピルがリスクを増加させるガン
① 乳がん

「乳がん」は女性が発症しやすいガンのトップです。

乳がんの発生・進行にはホルモンが関係しています。
昔はピルの服用によって乳がんの発症リスクが高くなると考えられていましたが、最近の研究では否定されています。

しかし、すでに乳がんを発症している女性は、ピルの服用によってその進行を促進させる可能性があります。
ピルの服用の有無にかかわらず、早期発見のため、乳がん検診を受けておくことが推奨されます。

ピルがリスクを増加させるガン
② 子宮頸がん

子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)が子宮頚部に感染することによって発生します。
性交を経験している女性の80%が感染しているとされます。
ウイルスを保有している男性との性交によって感染します。
ピルを使うことにより、コンドームを使わない性交が行われやすく、その結果HPV感染~子宮頸がんのリスクが高まります。

また、HPVに感染しても直ちに子宮頸がんに発展するわけではありません。
約90%の女性は免疫機能によってウイルスを排除することができます。

ガンにまで発展するには時間がかかるため、定期的に検診していればほとんど問題は起きません。
また、HPVのワクチンもあり、比較的予防しやすい種類のガンです。

ピルがリスクを減少させるガン
① 卵巣がん

卵巣がんは子宮の左右にある卵巣で発生するガンです。
卵巣がんは、乳がんに次いで女性が最も発症しやすいガンです。
自覚症状が現れるころには症状がかなり進行している発見しにくいガンでもあります。

ピルは長期服用することにより卵巣がんのリスクを半減させることができます。
その効果はピルの服用をやめた後も長期間続きます。

ピルがリスクを減少させるガン
② 子宮体がん

子宮体がんは、子宮内膜から発症するガンです。
子宮体がんは子宮内膜が厚く成長する「子宮内膜増殖症」から発展するガンで、卵胞ホルモンの働きが過剰になることにより起こります。
ピルはホルモンバランスを整え、このガンを発症するリスクを下げます。

このように、ピルが直接ガンのリスクを高めるということはなく、発見しにくい卵巣がん・子宮体がんの発生を減少する効果があります。
デメリットよりメリットの方が大きいと言えるでしょう。

ただ、乳がんや卵巣がんはもともと発症率の高いガンです。
定期検診を怠らないことが重要です。

ピルを飲むと太る?

ピルの副作用

ピル自体に肥満の副作用はありませんが、3つの原因から体重が増加することがあります。
ピルを飲むと太ると言われる原因は「水分が増える」「脂肪がつく」「食欲が増す場合がある」の3つです。

水分が増える

ピルを飲んでいる期間は体がむくみやすくなります。
ピルの成分である「エストロゲン」に、腎臓からの塩分排出を妨げる作用があるからです。
体内の塩分濃度が上がると水分を抱き込みますので、その分体重も重くなります。
この「むくみ」は、ピルの服用の有無にかかわらず生理前に起きる現象です。

水分量が増えたことによる加重ですから、ピルを止めれば元に戻ります。
ピルの休薬期間に体重が減るのもこの影響です。

対策としては、普段から塩分を控えることです。
一般に日本人は塩分過多になりがちなので、健康上も減塩は重要です。
高血圧の方、腎機能の低下している方は特に注意しましょう。

脂肪がつく

エストロゲンには「脂肪を増やす」という作用もあります。
エストロゲンは女性ホルモンです。
その特性から、【女性らしい体つきになる=乳房や太もも、腰回りなどに皮下脂肪がつきやすくなる】ことがあります。

食欲が増す場合がある

ピルの成分であるプロゲストーゲンは、男性ホルモン作用があり、それが食欲増進につながることがあります。
飲み初めに起こりやすい症状です。

ここはカロリーコントロールで何とかするしかありません。
ダイエット中の方はカロリー管理アプリなどで管理を行っている方もいらっしゃいます。
一目でカロリーを知ることができますので、面倒と思わない方は試してみてください。

ただ、ピルに含まれる男性ホルモン作用は、プロゲストノーゲンの種類によって異なります。
作用が弱い順に並べると、
ドロスピレノン(ヤーズなど)→デソゲストレル(マーベロンなど)→ノルエチステロン(シンフェーズなど)→レボノルゲストレル(トリキュラーなど)の順になります。

副作用の食欲増進効果が気になる場合、使用する種類について医師に聞いてみるとよいかもしれませんが、これら副作用は初期のみで治まる場合が多いです。

多くは初期的な副作用

このように、ピルは、中用量、低用量、超低用量などがありますが、それらの種類にかかわらず、飲み初めに体重増加がみられることがあります。
たいていは飲み続けることによって治まりますが、3ヶ月以上経過しても体重の増加や、顕著なむくみがみられる場合は、医師に相談してみてください。
ピルの服用を続けていっても、なお体重増加などの副作用が治まらない場合、ピルの種類を変えてみるのもよいでしょう。

まとめ

ピルの服用が禁忌な方もいらっしゃいます。
まず「乳がん」や「子宮頸がん」を患っている人。
次に「肺塞栓症」や「脳血管障害」の既往歴がある方。
いずれも症状を悪化させる恐れがあります。

また、1日15本以上タバコを吸う方、高血圧の方、血管に病変がある方、糖尿病の方は、血栓症を起こしやすいため、ピルを飲むべきではありません。

偏頭痛を持っている方も禁忌です。
脳血管障害が起こりやすくなります。

しかし多くの場合、ピルは女性に好ましい作用をもたらす良いお薬です。
避妊効果以外にも、いろんな副次効果(良い効能)があります。
日本では、国民性や偏見から、ピルを服用する方は非常に少ないです。
先進国では25%から40%くらいの女性がピルを服用していますが、日本では1%~くらいにとどまっています。
これは先進国では異常な低数値です。

特に「月経困難症」「子宮内膜症」などでつらい思いをしている方は服用を検討することをお勧めします。
120日間連続服用できる「ヤーズフレックス配合錠」という超低用量ピルも2017年、国内で処方が始まりました。
ヤーズフレックスは避妊以外の症状を緩和する目的で処方されます。

ピルは、あらゆる薬の中でも、圧倒的にメリットの方がデメリットより多いお薬です。
女性も、男性も、偏見ではなく正しい知識を持って、より生きていきやすい方法の一つである「ピル」について理解していくことが求められているのだと思います

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